蜜蝋を精製する
蜜絞りの時に削った蜜蓋や、巣枠からはみ出たいわゆる自由巣(いわゆる「無駄巣」といわれる部分。全然「無駄」じゃないけど!)は蜜蝋でできています。
一気にとれるものではないので、少しずつ集めておいたものを一旦冷凍してから(冷凍しないとスムシが発生して巣を食べてしまうらしい)、後日まとめて蜜蝋の精製をします。
まず、ネットに蜜蓋や巣などを入れて、お湯で煮ます。
においが出るかも?と思ってとりあえず屋外(ロケットストーブ)で作業。
でもやってみたら別に臭くなかったので、家で作業してもいいと思う。
ただ、キッチンのコンロでやると燃料がもったいないので、薪ストーブの上に置いておくのがよさそう。
冬場の作業ですな、これは。
蜜蝋は、65℃で溶けます。
お湯もネットも、溶けた蜜蝋&その他もろもろで結構グロい見かけです。
溶けてから室温で放置しておくと、上:固形物(蜜蝋)と、下:液体(水)にかなりきれいに分離します。
さらにうまいことに、固形物部分の下の方にゴミが固まるので、こそげ落として捨てます。
こうしてとれた固形物の上部分は、ほぼ蜜蝋です。
お湯を加えて➡湯煎で溶かして➡放置して固めて➡固形物部分からゴミをこそげ落とす
という過程をあと2、3回繰り返します。(初回以外は量も少ないのでキッチンで作業。)
だいぶ精製された蜜蝋。
最初、やっぱり漉した方がよいのでは?と思って少し漉してみましたが、漉している途中で冷えて固まってしまい目を通らなくなるので、漉すのはあまりいい考えではなかったようです…。
でも、水で分離するだけでかなりきれいに精製できました。
冷凍室いっぱいの巣屑から、精製後に残ったのはたったの170g。
…蜜蝋って、もしかしてはちみつより希少なのでは。
パンダのソフトクリームやさん
「パンダのソフトクリームやさん」
という絵本があります。
ソフトクリームやさんをやっているパンダのきょうだいに所にくまくんがやってきて、みんなではちみつソフトクリームを作る、というほのぼのとしたお話。
はち目線で読んだら別の意味でおもしろかった。
3匹はまず、はちの巣のある所まで行きます。
しかしこの形状はアシナガバチの巣では…?
パンダ(兄)が「はちの巣をスプーンで掘ってはちみつをソフトクリームにかける」という暴挙にでます。
みつばちが一匹も登場しないのが不気味です。
ラストは、残ったはちみつをハチの巣ごとすべて奪い去ります。
さすがクマ。恐るべし。
ひょうたんみつろうキャンドル
毎日雨です。
ちょっと雨がやんだ隙に巣箱の様子を見にいったりするのですが、みつばちたちの機嫌はかなり悪いです。
普段は巣箱の横に座って眺めていても大丈夫ですが、こういうときは巣箱に近づくだけで斥候ばちが威嚇してきます。
なので今週は内検できず…。
ということで、みつろうキャンドルを作ってみました。
左は本物のひょうたんを使って作ったシリコン型にろうを流し込んで固めたもの。
右2つは手ごねで成形したしずく型とひょうたん型。
ええ、ひょうたん型です。
何しろひょうたんランプ屋を10年近くやっていたので、ひょうたんから抜け出せない…。
点灯。
夏至(100万人のキャンドルナイト)は過ぎたけれど、キャンドルに火が灯ってろうがゆっくり溶けていく様子っていいものです。
その上、みつろうキャンドルはほのかに甘い香りもします。
はちを飼うとムダ巣や蜜蓋などどうしても蜜蝋が出るものですが、捨ててしまう養蜂家さんも多いです。
でも、せっかくみつばちたちがせっせと作ってくれているものなので、捨てずに活用したいものです。
農薬問題
みつばちを飼うにあたって1番心配していたのが、農薬の問題。
近くには水田の他に柿畑があります。
果樹園というものはどうしても薬を撒くものなので、これでみつばちたちが全滅したり、CCD(蜂群崩壊症候群)を起こしたりしないか心配だったのです。
正直、以前はかなりいたという日本みつばちがこの周辺で最近見られない(実は日本みつばちの待ち箱もいくつか仕掛けたのですが、ひとつも捕獲できませんでした…。)のはこの柿の農薬のせいなのでは…?という疑いも持っていました。
で、ついにおととい、柿畑の所有者さんがやってきました。
「明日は薬撒くから洗濯物を外に干さないでくれ」
洗濯物もだけど、うーん、蜂はどうなんだ。
柿畑の所有者さん曰く「いや蜂は大丈夫だろう!」(←根拠なし)
ちなみに、うちのみつばちたちの出どころであるKさんの蜂場はリンゴ畑です。
リンゴは柿よりもうんと薬を撒くと聞くので、以前Kさんに農薬被害について聞いたことがあるのですが、
曰く「別に関係ないぞ!」だそうで。
本当かなあ…。
ともあれ、
今のところみつばちたちは特に変わった様子もなく普段どおり活動しています。
ちょっと安心。
話は変わって。
最寄りのハリエンジュ(←いわゆる「アカシア」と呼ばれている木。本名はハリエンジュまたはニセアカシア)まで3kmと微妙な距離なので(西洋みつばちの守備範囲は2~3kmだそうです)、河川敷にてこぼれタネから発芽したと思われる幼木を何本か掘り出してこっそりいただいてきました。
まあ小さい木は夏になると全部伐採されているので、いただいても別に怒られないかなと…。
ところが根っこが深すぎて掘り切れずぶちぶち切れてしまったので、植え替えてしばらくしたら葉っぱが落ちて枯れ木状態になってしまいました。
でも生きているような気がしたのでそのまま水をやっていたら…
出ましたよ。
さすがはマメ科。すごい生命力。
4本中2本は生存を確認しました。
もう少し育ったらみつばちたちの近くに植えようと思います。
ハリエンジュの花が頭上で咲いてくれたらみつばちたちも喜ぶんじゃないかな~。
蜜を漉す
蜜絞りの続きです。
遠心分離機で絞った蜜は、まずざるでざっと漉して、続いて布でじっくり漉します。
愛読書『養蜂大全』によると、オーガンジーを使うとあるので、さっそく入手。
オーガンジーというのは、ナイロンでできた平織布で、ウエディングドレスなどに使われるふわっとしたやつです。
じょうごに布をかけて、タンクから蜜を注ぎます。
が。
遅い…。
遅すぎる…。
これじゃ日が暮れるよ…と思ったら、日が暮れるどころか丸一日経過してもたいして進んでいない。
見れば、じょうごの下から出る蜜は針の細さ。
ううむ。
やはりKさんのいうとおり7500円の蜜漉し器を買うしかないのか…。
と思ったら、またもやAmazonで1900円のを発見したので、とりあえずポチリ。
(1900円が高いのか安いのかもはやよくわかりません)
でも届くのは数日後の予定。
さて、オーガンジー濾過中の蜜です。
気づくと、針の細さですらなくなって、もうじょうごから蜜が落ちていない…。
なんてこった。
温度が低いと粘度が上がって漉しにくくなるのだろうか?
と思いあたたかい部屋に移動してみたら、針は復活。
しかし、針。あくまで、針。
続いて、布の目にゴミが詰まって通りにくくなっているのでは?
と思い、布を替えてみることに。
そうして布を持ち上げてみたら、
なんとしっかり落ちるではないか…!
じょうごの壁と布が密着していたので漉せなかっただけだった…。
なんて初歩的なミス。
たぶん布を吊り下げる台でも作ったらいいのでしょうが、目を離しているうちに台が倒れて大惨事、がすごくリアルに想像されたのでさしあたり却下。
手で布を持って蜜が落ちるのを待つ、というとても単純かつスローな方法に切り替えました。(暇だな~、自分。)
こうして無事に濾過終了。
次回蜜絞りする時は、1900円の蜜漉し器の性能を確認したいと思います!
蜜絞り!!
栗の花が咲くまで秒読み。
うちの周辺は栗の木が多いので、花が咲くと一帯がすごい匂いにつつまるくらいです。
栗の蜜はなかなか個性が強烈なので(それはそれで結構好きだけど)、栗の蜜が入る前に一度蜜を絞りたい!で、味をみたい!
と思いました。
というわけで、Made In Chinaの安い遠心分離機を購入。
養蜂問屋で買うと軽く10万くらいいくこの機械。
Amazonで2万弱で手に入ります。しかも(日本に在庫があれば)翌日配送。
まあ説明書もろくについていないし、汚れもあったけど(洗ったら落ちた)、趣味の養蜂で使うくらいにはまあよいかなと。
構造自体は単純なので、古い洗濯機を使って自作する人もいるらしいです。
ベティさんちとキャシーさんちから巣枠5枚を回収してきて、家の中で蜜絞り作業に入ります。
蜜に十分蓋がかかれば蜜絞りできるそうです。(蓋がかかったところは糖度が高いので絞ってよいということですが、どれくらいが「十分」なのかは資料により異なる。「全面蓋がかかってから」という本もあれば、「1/3かかればよい」という本もあります。)
こんな感じのを絞りました。(白っぽいのが蓋のかかった部分)
パン切り包丁で蓋を薄くそぎ落とします。
取った蓋はざるに入れてみつと蓋を分離し、蓋は蜜蝋としてキープ。
蓋をそいだ巣枠を遠心分離機に差し込んでハンドルを手動でぐるぐる回すと、下の方に蜜が溜まってきます。
コックを開けると…
とろーり
ざると布で2回漉します。
ざるはともかく、布で漉す工程はものすごーく時間がかかるので(1日以上?)、ちょっと現実的ではないかも…。
ちょうどタイミングよくやってきたKさんに「問屋で蜜こし器を買った方がいいぞ」と言われまさに今悩んでいるところです。(高いんだよー!)
さて、今回とれた蜜、まさかの10kg超え。
(普通どれくらいとれるものか全然知らなかったんです…。)
何に使おうかな~。
養蜂の入門書
みつばちを飼うにあたって、いろいろ本を読みました。
こんな感じ。
初心者向けのhowto本って、意外とないんです。
養蜂をざっくり紹介しているだけのごくごく浅い本か、
はたまたやたら狭い範囲(女王蜂の育成方法、とか)だけを掘り下げた専門書か。
そんな中で、写真右の『養蜂大全』は、「燻煙器の使い方」や「内検のしかた」が写真付きで説明されていてとても重宝しています。
これから西洋みつばちを飼い始める!という人にはぜひおすすめしたい。
養蜂技術の進歩や環境の変化があるので、あまり昔の資料はいまいち役に立ちません。
それと、外国の本も参考程度だと思った方がいいです。
写真上『ミツバチの教科書』(そもそも原題はThe Bee Bookであって、「ミツバチ」に限定せず「マルハナバチ」全般についての本です。なので、養蜂の実務を学びたい人には向きません。でも、絵や写真がいいし、読み物としては面白いです。)と、写真中『英国流ホビー養蜂のすべて』(この本は翻訳がひどすぎるのでおすすめできない。)は、イギリスの本なので、当然蜜源植物も異なるし、天敵も異なります(日本の養蜂の最大の敵であるオオスズメバチが存在しない。うらやましい!)。
その上、イギリスでは巣箱もラングストロス式(日本やアメリカで一般的に使われている巣箱)ではなくナショナル式とかいう英国独自の様式だったり。
養蜂は欧米の方が本場なので当然資料も桁違いに多いのですが、そういう意味で、外国の本を読んでそのまま日本での養蜂にあてはめるわけにはいかないのが難点です。
ウェブサイトなら 浦添養蜂場さんのサイトが勉強になります。
ここも内検から採蜜まで各プロセスを写真付きで細かく説明してくれています。
ただしここも沖縄の養蜂場さんなので、植生、天敵、寒さ対策 etc.ではちょっとあてはまらないこともあります。
とはいえ。
養蜂家が10人いれば10通りのやりかたがあるといわれるそうですが、確かに、新しい巣枠を入れる位置ひとつとっても、本によって書いてあることが違うんです…。
その上、Kさんの言うことはさらに違う…。
どれが100%正解ということはなくて、自分ちのみつばちたちの様子を見ながら試行錯誤していくものなんだろうなあと思います。
が、燻煙器すら途中で火が消えてしまう自分…。
まだまだ修行が足りぬ!