スズメバチの季節です
養蜂の大敵、スズメバチの季節がやってきました。
巣門の前を飛ぶみつばち。
それを捕まえようと巣箱前をホバリングするアカバチ(キイロスズメバチ。この辺ではこう呼ぶ。)。
さらにそれを捕まえようと網を片手にうろうろする自分。
・・・とはいえ1日中巣箱の前で網を振り回しているわけにもいかないので、ペットボトルトラップを仕掛けてみた。
上の方にカッターでH型の口を開け、中に誘引剤を入れたものを巣箱の近くに吊るします。
誘引剤は、ジュース+焼酎+酢+砂糖。
オレンジジュースバージョンと、カルピス&ブドウジュースバージョンを作製しました。(写真はカルピス&ブドウジュース)
ちなみにみつばちはトラップには入りません。酢のせいかな?
で、どうなったかというと・・・
もはや元の液体の色がわからないほどの大盛況っぷり。
捕らえられたのは、スズメバチ2、3匹、アシナガバチみたいなハチ5、6匹、あとは蛾がてんこ盛り。
まあハチノスツヅリガ(巣を食べてボロボロにしてしまうスムシの親)も一緒に退治できるならそれでもいいけど。
このハチノスツヅリガ、みつばち飼いにとっては単なる害虫ですが、釣りをする人にはいい餌になるそうで、なんとスムシは釣具店で売られているそうです(!)
しかも。
ハチノスツヅリガはプラスチックを食べる(誤飲とかではなくちゃんと消化する)そうで、昨今問題になっているプラスチックゴミの処理に利用できないかと考える人たちもいるとかいないとか。
物事にはいろんな側面があるんですね…。
ハチノスツヅリガではないけれど、トラップの中にこんな子もいました。
ピンクの縁取りがおしゃれ。
さて、スズメバチに関しては、週末に長野式スズメバチ捕獲器(←養蜂用の本気のやつ)というのを設置する予定です。
オオスズメバチが出てくるのはお盆頃らしいのですが、アカバチはすでに出てきているので、とりあえずできるだけのことはしておこうと思います。
クリ、栗、クリ!
栗の花が満開です。
栗林があるのですが、この時期はとにかく栗の花の香りがすごい。
花は夜に強く香るものらしく、夜に一歩家の外に出ると、むせかえるほどの香りが暗闇に充満しています。
栗の花はよい蜜源です。
が、日本ではあまり人気がないらしいです。
あの独特な花の香りがはちみつにもそのまま出てかなり個性の強い蜜になるので、おだやかな薄味好きの日本人の口にはあまり合わなかったのか…。
この近辺で養蜂をやるおじさんたちも、「栗が入るとだめだ」と一様に言います。
栗の蜜は人間用には絞らないけれど量はとれるので、蜂の餌用に取っておくんだそうです。
一方、イタリアやフランスなどではこの個性が逆に人気なんだとか。
日本でも最近はブルーチーズやウォッシュチーズのようなクセの強いチーズが食べられるようになってきたように、はちみつも個性的なタイプが市民権を得る日が来るかも…?
私は個人的には栗の蜜は嫌いじゃないです。
というか、けっこう好きです。
ただ、確かに強烈は強烈なので、食べ方は選ぶと思います。
クリームチーズと一緒にハード系パンに合わせる、というのが鉄板。
それから、マスカルポーネチーズやバニラアイスにとろりとかける、とか。
クッキーに焼きこむのもなかなかおもしろいです。(オーブンで焼いてる間、部屋中に香りが充満する!(笑))
ま、人もはちみつも、個性が強い方がいいですね!
ちょっと用事で東京に行ったので、はちみつ専門店のラベイユに寄ってきました。
このお店は、品揃えもさることながら、スタッフさんもすごく知識豊富で、その上全品味見させてもらえるというはちみつワンダーランドです。
(ただし、3、4種類味見していると甘さでのどが痛くなってくるので、水を持参した方がいいかも…)
さんざん味見しまくって、今回は以下の3種を購入。
左から、栗、マヌカ、アーモンド。
栗はイタリア産。
カラメルみたいな色!味も芳醇!香りも芳醇!そしてテクスチャーはねっとり!
とにかく全方位的に個性的です。
日本の栗とヨーロッパの栗は種類が違いますが、うちで栗の蜜がとれたら比較してみたい。
今回のヒットはアーモンドでした。
はちみつなのにアーモンドの味がします、まじで。
パンに塗って食べると…
おいしすぎる…。
買わなかったけれど、他に、マンゴーみたいな味の沖縄産はちみつとか、黒糖みたいな味のレッドヒースとか、驚くべき味のはちみつがたくさんありました。
はちみつというものの概念を覆されるお店です。
はあ、奥深いな、はちみつ…。
蜜蝋を精製する
蜜絞りの時に削った蜜蓋や、巣枠からはみ出たいわゆる自由巣(いわゆる「無駄巣」といわれる部分。全然「無駄」じゃないけど!)は蜜蝋でできています。
一気にとれるものではないので、少しずつ集めておいたものを一旦冷凍してから(冷凍しないとスムシが発生して巣を食べてしまうらしい)、後日まとめて蜜蝋の精製をします。
まず、ネットに蜜蓋や巣などを入れて、お湯で煮ます。
においが出るかも?と思ってとりあえず屋外(ロケットストーブ)で作業。
でもやってみたら別に臭くなかったので、家で作業してもいいと思う。
ただ、キッチンのコンロでやると燃料がもったいないので、薪ストーブの上に置いておくのがよさそう。
冬場の作業ですな、これは。
蜜蝋は、65℃で溶けます。
お湯もネットも、溶けた蜜蝋&その他もろもろで結構グロい見かけです。
溶けてから室温で放置しておくと、上:固形物(蜜蝋)と、下:液体(水)にかなりきれいに分離します。
さらにうまいことに、固形物部分の下の方にゴミが固まるので、こそげ落として捨てます。
こうしてとれた固形物の上部分は、ほぼ蜜蝋です。
お湯を加えて➡湯煎で溶かして➡放置して固めて➡固形物部分からゴミをこそげ落とす
という過程をあと2、3回繰り返します。(初回以外は量も少ないのでキッチンで作業。)
だいぶ精製された蜜蝋。
最初、やっぱり漉した方がよいのでは?と思って少し漉してみましたが、漉している途中で冷えて固まってしまい目を通らなくなるので、漉すのはあまりいい考えではなかったようです…。
でも、水で分離するだけでかなりきれいに精製できました。
冷凍室いっぱいの巣屑から、精製後に残ったのはたったの170g。
…蜜蝋って、もしかしてはちみつより希少なのでは。
パンダのソフトクリームやさん
「パンダのソフトクリームやさん」
という絵本があります。
ソフトクリームやさんをやっているパンダのきょうだいに所にくまくんがやってきて、みんなではちみつソフトクリームを作る、というほのぼのとしたお話。
はち目線で読んだら別の意味でおもしろかった。
3匹はまず、はちの巣のある所まで行きます。
しかしこの形状はアシナガバチの巣では…?
パンダ(兄)が「はちの巣をスプーンで掘ってはちみつをソフトクリームにかける」という暴挙にでます。
みつばちが一匹も登場しないのが不気味です。
ラストは、残ったはちみつをハチの巣ごとすべて奪い去ります。
さすがクマ。恐るべし。
ひょうたんみつろうキャンドル
毎日雨です。
ちょっと雨がやんだ隙に巣箱の様子を見にいったりするのですが、みつばちたちの機嫌はかなり悪いです。
普段は巣箱の横に座って眺めていても大丈夫ですが、こういうときは巣箱に近づくだけで斥候ばちが威嚇してきます。
なので今週は内検できず…。
ということで、みつろうキャンドルを作ってみました。
左は本物のひょうたんを使って作ったシリコン型にろうを流し込んで固めたもの。
右2つは手ごねで成形したしずく型とひょうたん型。
ええ、ひょうたん型です。
何しろひょうたんランプ屋を10年近くやっていたので、ひょうたんから抜け出せない…。
点灯。
夏至(100万人のキャンドルナイト)は過ぎたけれど、キャンドルに火が灯ってろうがゆっくり溶けていく様子っていいものです。
その上、みつろうキャンドルはほのかに甘い香りもします。
はちを飼うとムダ巣や蜜蓋などどうしても蜜蝋が出るものですが、捨ててしまう養蜂家さんも多いです。
でも、せっかくみつばちたちがせっせと作ってくれているものなので、捨てずに活用したいものです。
農薬問題
みつばちを飼うにあたって1番心配していたのが、農薬の問題。
近くには水田の他に柿畑があります。
果樹園というものはどうしても薬を撒くものなので、これでみつばちたちが全滅したり、CCD(蜂群崩壊症候群)を起こしたりしないか心配だったのです。
正直、以前はかなりいたという日本みつばちがこの周辺で最近見られない(実は日本みつばちの待ち箱もいくつか仕掛けたのですが、ひとつも捕獲できませんでした…。)のはこの柿の農薬のせいなのでは…?という疑いも持っていました。
で、ついにおととい、柿畑の所有者さんがやってきました。
「明日は薬撒くから洗濯物を外に干さないでくれ」
洗濯物もだけど、うーん、蜂はどうなんだ。
柿畑の所有者さん曰く「いや蜂は大丈夫だろう!」(←根拠なし)
ちなみに、うちのみつばちたちの出どころであるKさんの蜂場はリンゴ畑です。
リンゴは柿よりもうんと薬を撒くと聞くので、以前Kさんに農薬被害について聞いたことがあるのですが、
曰く「別に関係ないぞ!」だそうで。
本当かなあ…。
ともあれ、
今のところみつばちたちは特に変わった様子もなく普段どおり活動しています。
ちょっと安心。
話は変わって。
最寄りのハリエンジュ(←いわゆる「アカシア」と呼ばれている木。本名はハリエンジュまたはニセアカシア)まで3kmと微妙な距離なので(西洋みつばちの守備範囲は2~3kmだそうです)、河川敷にてこぼれタネから発芽したと思われる幼木を何本か掘り出してこっそりいただいてきました。
まあ小さい木は夏になると全部伐採されているので、いただいても別に怒られないかなと…。
ところが根っこが深すぎて掘り切れずぶちぶち切れてしまったので、植え替えてしばらくしたら葉っぱが落ちて枯れ木状態になってしまいました。
でも生きているような気がしたのでそのまま水をやっていたら…
出ましたよ。
さすがはマメ科。すごい生命力。
4本中2本は生存を確認しました。
もう少し育ったらみつばちたちの近くに植えようと思います。
ハリエンジュの花が頭上で咲いてくれたらみつばちたちも喜ぶんじゃないかな~。
蜜を漉す
蜜絞りの続きです。
遠心分離機で絞った蜜は、まずざるでざっと漉して、続いて布でじっくり漉します。
愛読書『養蜂大全』によると、オーガンジーを使うとあるので、さっそく入手。
オーガンジーというのは、ナイロンでできた平織布で、ウエディングドレスなどに使われるふわっとしたやつです。
じょうごに布をかけて、タンクから蜜を注ぎます。
が。
遅い…。
遅すぎる…。
これじゃ日が暮れるよ…と思ったら、日が暮れるどころか丸一日経過してもたいして進んでいない。
見れば、じょうごの下から出る蜜は針の細さ。
ううむ。
やはりKさんのいうとおり7500円の蜜漉し器を買うしかないのか…。
と思ったら、またもやAmazonで1900円のを発見したので、とりあえずポチリ。
(1900円が高いのか安いのかもはやよくわかりません)
でも届くのは数日後の予定。
さて、オーガンジー濾過中の蜜です。
気づくと、針の細さですらなくなって、もうじょうごから蜜が落ちていない…。
なんてこった。
温度が低いと粘度が上がって漉しにくくなるのだろうか?
と思いあたたかい部屋に移動してみたら、針は復活。
しかし、針。あくまで、針。
続いて、布の目にゴミが詰まって通りにくくなっているのでは?
と思い、布を替えてみることに。
そうして布を持ち上げてみたら、
なんとしっかり落ちるではないか…!
じょうごの壁と布が密着していたので漉せなかっただけだった…。
なんて初歩的なミス。
たぶん布を吊り下げる台でも作ったらいいのでしょうが、目を離しているうちに台が倒れて大惨事、がすごくリアルに想像されたのでさしあたり却下。
手で布を持って蜜が落ちるのを待つ、というとても単純かつスローな方法に切り替えました。(暇だな~、自分。)
こうして無事に濾過終了。
次回蜜絞りする時は、1900円の蜜漉し器の性能を確認したいと思います!